マグナムの写真家が見たエイズ治療の最前線

スワジランド  ラリー・タウェル
SWAZILAND  Larry Towell
   






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  ジャーナリストの仕事が権力の監視なら、そのための一つの方法は権力を持たない人々と一緒に時間を過ごすことだ。私がスワジランドで撮影した患者たちのほとんどは夫からHIVをうつされ、出産時に我が子にも感染させてしまった女性たちだった。
 そんな彼女たちの中でも、私が大好きなトバ・ンジマは2人のパートナーと一人の子をエイズで亡くしている。現在は二人の子供の母親で、その内の1人はHIV陽性である。彼女にはまた、HIVに感染している32歳の兄一人と二人の姉妹がいる。4人のうち1人、または女性3人のうち1人がHIVに感染している _ これがスワジランドの普通の核家族の姿だ。
 トバは小さな湖と畑、それに家畜を見下ろす丘の頂上に住んでいた。夜は子供たちと同じベッドで眠り、明け方には起きて彼らを学校へ送り出す準備をする。鶏にえさをやり、そして近くの家の掃除や家事をする。太陽が沈みかけたころに家へ戻って屋外の焚き火で夕食を作り、鶏が産んだ卵を集め、もう一度とうもろこしと麦のえさをやる。その小さな丘の上から世界を見渡し、彼女は身の周りの希望に満ちたものだけを見ていた。自分の母親、庭、自分の子供や近所の子供たち ― 彼女の生きがいの全てだ。そして彼女は幸運に感謝していた。不運に見舞われているように見えるが、彼女自身は自分は恵まれていると感謝していた。

― ラリー・タウェル
     

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